人材育成を現場任せにしない。OJTだけではない社員教育事例4選

2018/07/05


社員教育に悩む企業は少なくありません。特に全国に複数の店舗を構える多店舗展開企業では、サービスの均一化や迅速なオペレーションが求められるため、企業が求めるレベルの人材を育成するために、現場のOJTだけでなく、本部から様々な教育施策が展開されています。そこで今回は、教育を体系化することで社員教育を成功させている4つの企業をご紹介します。

事例① 株式会社ユニクロ: 入社後2年で店長。グローバルで活躍する人材育成を支えるユニクロ大学とは?

2017年8月現在、国内外に1,920店舗を出店しているユニクロ。ユニクロでは、新卒社員の大半が平均2年で店長を経験します。これまでマネジメント経験のない新入社員がなぜここまで早期に店長という責務を果たせるようになるのか。その秘訣は、独自のノウハウを教育カリキュラムとして体系化させた「ユニクロ大学」にあります。

一般的な小売企業の場合、店舗に配属される社員のほとんどはOJTとして、現場での実務のみを通して業務を覚えます。しかし、ユニクロではOJTに加えて、2泊3日の座学研修を入社半年後までに計4回実施します。座学研修では、社会人としてのマナーのみならず、店長になるうえで必要な知識、さらにはマネジメントスキルを習得します。いわば、入社直後から店長としての教育がスタートするというわけです。これら複数回の座学と現場でのOJTを繰り返すことによって、新入社員であっても平均して2年という短い期間で、店長として責務を担うことが可能となるのです。

早期から店長になるうえでの知識を習得できるというのは、新入社員にオーナーシップをもってもらう点でも効果的です。最初から上流工程の知識を体得し、責任ある立場を経験することによって、帰属意識も生まれやすくなるでしょう。

事例② 株式会社コメダ: 国内喫茶店舗数第3位のコメダを支える、充実した研修と経営人の現場主義

1968年に名古屋の下町から始まった小さな喫茶店が、今ではスターバックスコーヒー、ドトールコーヒーショップに次いで国内喫茶店舗数第3位になるまで成長しました。運営する株式会社コメダ(以下「コメダ」)は2016年に東証一部へと上場し、2018年2月末現在、全国に790店舗のフルサービス型喫茶店チェーン「珈琲所コメダ珈琲店」を展開しています。

コメダの店舗は98%がフランチャイズ。でも、入社する社員は、コメダの保有するノウハウを体系的に学ぶセンター研修と直営店舗での実地研修を計70日間という長期にわたって受けます。センター研修では9時から17時まで、コメダの理念はもちろん、店舗における基本的なオペレーションをみっちり学びます。また、研修ごとに検定を行い、合格しないと次の研修に進めないようにもなっています。こうした仕組みを導入することで、アウトプットを意識した能動的な研修を実施しているのです。

代表取締役社長の臼井興胤氏は、トップになった後も毎週コメダの制服を着て、店舗に立っているそうです。センターでの充実した研修と代表自らが現場の声を聞く姿勢により、急速な店舗拡大と安定した接客の質を担保しています。

事例③ 株式会社スギ薬局: 毎週1時間の役員の生の声と、月1回以上のセンター教育が人材育成を支える

全国1,100店舗におよぶ一大ドラッグストアチェーン「スギ薬局」を展開する株式会社スギ薬局(以下、「スギ薬局」)。2017年より、3,000店舗体制に向けて年間50店以上も新規出店していますが、ここまで急速に店舗数が増えると、本部の意図と店舗の意図が乖離することも。それを防ぐために同社では、毎週1時間、インターネットを使って役員の生の声を現場に届けています。

また、スギ薬局には2,000名を超える薬剤師が在籍していますが、彼らは月に1~2回、4年間にわたってスギ薬局独自の教育を施すセンターで研修を受けることになっています。このセンターでは、基礎知識や調剤のスキルだけでなく、最新の医療情報も教えています。専門教育を受けた薬剤師であっても、スギ薬局が保有する独自のノウハウを伝えることによって再教育し、現場任せにしない教育体制を整えているのです。

事例④ 日本マクドナルド株式会社: 習熟度に合わせた階層構造と、進捗度が一目でわかるロードマップでクルーのモチベーションを管理

日本マクドナルド株式会社(以下、「マクドナルド」)では基本的に、各店舗によるOJTによって人材教育を実施しています。これは他の多店舗展開企業と同じですが、それ以前にマクドナルドではアルバイトスタッフを含めた階層構造の仕組みを導入しています。そうすることで、スタッフ自ら主体的に学ぶ環境を整えているのです。

店舗の階層は、クルー(入社直後)から始まり、トレーナー、スター、スウィングマネージャー、マネージャー(店長)の5段階。教育のプロセスはロードマップ上に可視化され、店舗スタッフ全員の目に届くところに貼り出されています。これは、自分の目標を把握しやすいようにという工夫です。

また、スウィングマネージャー以降は、「ハンバーガー大学」というマクドナルド独自のノウハウを保有する機関で学びます。アルバイト、大学生問わず、やる気のあるスタッフはスウィングマネージャー以降の階層へと昇格することもできるため、現在の肩書に捉われず、望みさえすれば裁量のある仕事を任せてもらえるのです。

実際にマクドナルドの店舗に行けば実感しますが、あの安さと接客レベルの高さを両立するチェーンは、マクドナルド以外にはなかなか見当たりません。もちろん人材教育だけでマクドナルドのすべてを語ることはできませんが、その取り組みから学べることは多いはずです。

まとめ

今回紹介した企業に共通するのが「教育の体系化」です。このような、OJTに頼らない社員教育の仕組みは、店舗数が増え、本部の目の届かない範囲が広がっていくほど欠かせません。こうした体系化を効率的に行うには、今回紹介した企業が実践している独自のセンターを設けるのもひとつの方法でしょうし、本部・店舗問わずオンライン上でやり取りできるサービスを使うのもまたひとつの方法です。今回紹介した企業を参考に、ぜひ社員教育の体系化に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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